法人税はどのように計算されるのか?計算例を使って説明します

投稿:2023年8月5日更新:2023年8月11日お知らせ , ブログ

UAEでは2023年6月から法人税法が導入され、 UAE国内に設立された法人などの納税義務者は、法人税を期日までに申告し、納税する必要があります。

そこで今回は、具体的な数字を使い、法人税の納税額がどのようにシュミレーションされるのかを解説したいと思います。

法人税率は原則として「9%」

UAEの納税義務者は、原則として一定の会計期間において計算された課税所得の9%を法人税として納税することになっています。日本のように法人税以外に法人住民税、法人事業税、特別法人事業税…等々細かく分かれているわけではなく、純粋に課税所得の9%として計算されます。

実務上の手間を省くため、一定の所得未満の場合は法人税の納税が不要という閾値が設けられています。この閾値は現時点では「375,000AED」となっており、この課税所得に満たない場合は法人税はかかりません。

上記をまとめると以下のような計算式になります。

簡単な例題を用いて法人税を計算してみましょう。

【例題】

A社はUAEドバイに設立されたメインランド(本土)法人である。A社の経営成績は売上高が5,000,000、原価が1,800,000、経費が1,200,000だった。経費のうち、交際費の一部(50,000)は税務上の損金として認められなかったため、課税所得の調整※を行った。

この場合、法人税は以下のように計算されます。

①売上高:5,000,000
②原 価:△1,800,000
③経 費:△1,200,000
④税引前当期純利益:2,000,000(①-②-③)
⑤調整額:50,000(交際費否認)
⑥課税所得:2,050,000(④+⑤)

上記の計算式に基づき、課税所得は2,050,000AEDとなります。
よって、法人税は以下のように計算されます:

(2,050,000-375,000)×9%=150,750 AED

※ 課税所得の調整とは、会計上の利益を税金計算上の課税所得に置き換えるために必要な一定の調整です。詳しくは以下の記事で紹介しています。

例外的な法人税の計算が必要な場合

法人税の計算は、原則として先述した通りに計算されます。しかし、いくつかの法人については上記の計算を行わない例外があります。例えば以下のようなケースが該当します。

法人税が免除されている場合(0%)

例えば、政府機関やそれに準じる法人や組織、または公益財団法人に該当する場合は、政府から法人税が免除されることもあります。そういったケースは法人税率は免除され、0%の税率となります。

大規模な多国籍企業の場合(15%)

税源浸食と利益移転(BEPS)は、法人税収を著しく減少させる問題を解決するために、OECDが取り組んでいる国際的な取り組みです。この問題は、グローバル企業が利益を海外に移転させ、税金を回避することによって発生します。ここで言う大規模とは連結財務諸表上の売上高が7億5000万ユーロを超える法人のことを言います。

適格フリーゾーン・パーソンに該当する場合(0% / 9%)

一定の要件をみたすフリーゾーン法人については適格フリーゾーン・パーソンに該当し、所得の適格性に応じた課税がなされるケースがあります。
具体的には適格フリーゾーン・パーソンの所得のうち、適格所得に該当する所得に対しては0%となり、適格所得に該当しない所得については9%の税率が適用されます。適格フリーゾーン・パーソンは上述したような375,000AEDという閾値は存在せず、適格所得か否かによって課税の有無が決定されることになります。

まとめ

UAEの法人税率の計算について、具体的な数字でシュミレーションを行うと同時に、通常の法人税の計算とは別に計算されるケースについて解説しました。

日本と比べるとシンプルなようにも思えますが、税務上の調整額や適格所得や適格フリーゾーンの概念など、日本の法人税制とは異なる概念も存在します。ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 このブログを書いた人

ALWASIQ Management Consultants ジャパンデスクの岡本です。
UAECA(アラブ首長国連邦会計士),公認会計士・税理士(日本)。
UAEに進出する日系企業向けに最新の税務情報を発信しています。

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