UAEにおけるビジネス環境とTRCの重要性
UAEでは、企業を誘致するための優遇措置が整備されており、世界中から投資を集めています。
また、UAEの税制環境も投資家に有利であり、世界中の多くの国との二国間租税条約を結んでいます。
これにより、同一の納税者に対して二重課税が回避され、所得税の免除も行われています。現在UAEは、123もの国と租税条約を締結しており、日本とも2013年5月に「日・アラブ首長国連邦租税条約」を締結しています。
2国間租税条約は通常、徴税権の住み分けと二重課税の防止が大きな締結の趣旨として挙げられますが、TRCは二重課税の防止のために制定された制度です。すなわち、一方国の居住者であればもう一方の国では居住者にならないと扱うことで、両国から課税されてしまうことを防いでいます。
TRC取得のための準備書類と手続
Tax Residency Certificate(税務居住証明書)とは、UAE連邦税務局(FTA)が発行する証明書です。
この証明書を取得することで、UAEで事業を行う個人や企業は税務上の居住権を確立し、二重課税回避協定の適用を受けることができます。
UAEに居住している会社や個人がTRCを取得するためには、所定の書類の準備と手続きを行うことが必要です。
具体的には以下の通りです。
法人がTRCを取得するために必要な書類:
- Trade Licence(トレードライセンス)
- Memorandum(会社定款 / MoA&AoA)
- Certificate of Formation(会社の登記証明書 / CoF)
- 会社組織図
- 物理的なオフィススペースとの商業用賃貸借契約書(Ejari / バーチャルオフィスはNG)
- パスポートのコピーと居住ビザ
- 会社の取締役、株主、または経営者のエミレーツID
- 直近6ヶ月の監査済財務諸表または銀行取引明細書
- TRCの申請料金はAED 10,000で、e-Dirham Cardを通じて事前にUAE連邦税務当局に支払う。
個人がTRCを取得するために必要な書類:
- パスポートのコピーと有効なビザのコピーが、申請日の180日前までに発行されていること。
- エミレーツIDのコピー
- 6ヶ月分のUAE銀行残高証明書
- 雇用契約書、株券、給与証明書などUAEでの収入を証明するもの
- 日本大使館の在留証明書
- 申請前3ヶ月以上有効な借家契約証書(Ejari)
- TRCの申請料金はAED 2000で、e-Dirham Cardを通じてUAE連邦税務当局に支払う。
TRCの取得プロセス:
- UAE連邦税務当局(FTA)のポータルでアカウントを作成します。
- 申込ページから必要事項を記入し、必要書類をPDFまたはJPEG形式でアップロードします。
- 申請書と添付書類が確認され、基準を満たしていれば、残りの料金支払いに関する確認メールが届きます。
- 入金確認後、証明書が速達便で送付されます。
TRCの有効期限とメリット
TRCの有効期限は1年間で、更新手続きを経て1年ごとに更新可能です。TRCを取得することで、個人と法人の両方が所得をカバーし、二重課税を回避できます。また、UAE居住者として税制優遇措置を受けながら、ドバイやアブダビといった国際市場へのアクセスを得ることができます。
まとめ
TRCは、税務上の判断に必要になる場合もありますので、必要に応じて手配の手続きが必要です。
当社では、法人及び個人のTRC取得の代行を行うことが出来ます。
税務上TRCを取得する場合で、専門の業者に依頼したい場合は、当社までご連絡ください。
