キャピタルゲインとは、保有している資産の売却によって得られた利益のことを言います。
例としてよくあげられるのは保有している株式や債券、そして不動産の売却による利益です。
もともとUAEではキャピタルゲインに対しては課税をしないというスタンスを取ってきました。
しかし2023年6月から法人税が導入されたことにより、今後はキャピタルゲインに対しても課税があるかどうか検討が必要になります。今日はキャピタルゲインに対する課税の有無について解説したいと思います。
キャピタルゲインに対する課税
キャピタルゲインに対する課税は、個人か法人化によって異なります。
2023年6月から施行されている法人税法は、原則として法人が対象になります。
例外的に個人事業主として事業を行う場合は、個人も法人税制の対象になることが定められています。
そのため、個人の地位として不動産や株式を購入し、その資産が上がることによって売却益を得た場合については法人税の対象外となりますので、今までと変わらず課税されないことになります。
一方で法人の場合は個人とは事情が異なります。
法人で保有する投資その他の資産については、それが営業活動に利用するために保有するものなのか、そうではなく資産運用目的で保有する資産なのかを区別しません。資産の売却によってキャピタルゲインが生じた場合は、法人税の課税所得として認識され、法人税の対象となります(法人税法第13条2項e)。
しかし、株式から生じる配当や売却益については、法人であっても一定の免除要件があります。
具体的には、12ヶ月間の間、5%以上の株式を所有していた場合、そこから生じたキャピタルゲインは法人税が免除されます。これを参加免除要件(participation exemption)と言います(法人税法第23条2項)。
また、グループ内譲渡や組織再編・再構築取引で発生する可能性のある資産の売却や株式を対価とした組織再編行為から生じるキャピタルゲインについても、法人税の免除が可能です。これについては以下の記事で詳細に説明しています。
資産運用目的で不動産を買う方は注意が必要
昨今は特にドバイの不動産の値上がりが非常に大きく、資産運用(キャピタルゲイン・インカムゲイン)目的でドバイ不動産を購入されようとする日本人の方が多くいらっしゃいます。
上記を読んでいただくとわかるとおり、個人で不動産を購入する場合と、法人で不動産を購入する場合で適用される税制が変わってきます。
今までは日本に住み続けながら不動産を購入したい方や、将来的に株式譲渡により親族等に不動産を間接的に譲渡したい方などは法人名義で不動産を買う方もいらっしゃいましたが、今後は法人税制についても検討した上で、どちらの名義で不動産を買うのかを判断する必要があります。
また、タックスヘイブン対策税制の改正により、日本に居住住みながらUAEに法人を設立し、法人名義で不動産を購入する方法も税制的なリスクが高まっているといえますので、そういったリスクも考慮しながら判断するようにしてください。
まとめ
法人税が適用されることによって、個人及び法人に対してキャピタルゲインに対してどのように税金が課されるのかについて理解していただけたかと思います。
昨今のインフレもあり、株式や不動産を売却することで多くのキャピタルゲインの発生が見込まれている方もいらっしゃるかと思います。
法人税法上の取扱いなどご不明点や心配な点がありましたら、お気軽に当社までお問い合わせください。
